ジャパン・トゥモロウ

イメージフォーラム・フェスティバル2011は6/19に会期を終了しました。 各会場の「ジャパン・トゥモロウ」観客賞は下記の通りです。   東京(パークタワーホール):「ホリデイ」平野遼 京都(京都シネマ):「THE 梅屋商店」渡辺亮 福岡(福岡市総合図書館):「EDEN」磯部真也 横浜(横浜美術館):「EDEN」磯部真也 名古屋(愛知芸術文化センター):「ホリデイ」平野遼   受賞者には賞状とデジタルカメラ「ルミックス」(提供:パナソニック株式会社)が贈られます。   入賞作品一覧はこちら    


大賞作家インタビュー 『THE 梅屋商店』 渡辺亮   –大賞おめでとうございます。大勢の観客の前で作品が上映されていかがでしたか? ありがとうございます。(東京会場の)パークタワーホールは 大画面だし音もいいし大勢の前だし、まずはとにかく緊張しました。 また、同じEプログラムの作家の方々がすごい顔ぶれだったので 一緒に上映されたこと自体が嬉しかったです。   –『THE 梅屋商店』は初作品ということですが、映像作品を作ろうと思ったきっかけはなんですか? きっかけというきっかけは特にないのですが、 自分で作品を作ってみたいと昔から思っていて、学校行事や旅行で、なぜかカメラ係を任せられることが多く、漠然と映像かな~と。通っている大学が渋谷だったので、渋谷付近の映像学校を探していたら、イメージフォーラム映像研究所を見つけて、映像制作未経験でも大丈夫だと思い入学を決めました。 イメージフォーラム映像研究所の最初の授業で『SPACY』(伊藤高志/1981)と『アートマン』(松本俊夫/1975)を観て、うわぁ、こういうのあるんだ! とびっくりして…。 それから松本俊夫さん、伊藤高志さんの作品を何回も観て研究していた時期がありました。 伊藤高志さんの『THUNDER』『GHOST』『GRIM』などプロジェクターを使う作品や 松本俊夫さんの『西陣』『色即是空』などが『THE 梅屋商店』のヒントになった作品です。 あとは、ヤン・シュヴァンクマイエルや塚本晋也さんの作品にも影響を受けています。   –なぜ魚加工工場をコマ撮りで撮影しようと思ったのですか? 研究所でコマ撮りの手法を教えてもらい、自分もこういったことをやってみたいと思ったのが始まりです。 そのあとに幼少の記憶が再現できるんじゃないかと思い、作品にしようと決めました。というのは、この魚加工工場は僕の実家なんです。幼少の頃から工場で手伝いをしたり、また、誰もいない夜の工場でボール遊びをしたりしていました。 その頃の記憶を辿ると、工場全体から魚の怨念みたいなものを感じていて、夜は機械や台車やフォークリフトが動いているという不思議な感覚がありました。その頃のイメージを視覚化するためにコマ撮りという手法がつかえるんじゃないかと。   –撮影は大変だったとか。 フォークリフトは初めて操縦したので、苦労しました。でもだんだん慣れてきて最終的には自由自在に操縦出来るようになりました。 大人になっても夜の工場は不気味で怖かったです。急に冷凍庫などの機械の音がなったりするのでびくびくしながら撮影してました。なのでイヤホンをつけて明るい曲を聴きながら撮影したりもしました。   –映画のサウンドがリズミカルで楽しい雰囲気になったのはそういうことが理由なんですか? もしかしたらそうなのかも知れないですが(笑)、幼少の頃のただ怖いだけではない不思議な感覚を再現したかったんで、ホラーのイメージだけではなく、少しコミカルな動きの要素も取り入れたかったんです。それでリズムのある音が必要になった。   –作品タイトルもどこかコミカルですよね。 梅屋商店は屋号です。 工場の看板に梅屋商店の前に「サ」とういう文字があるんですが、 このサは、梅屋商店の別名みたいなもので、各水産加工業者についているものです。 梅屋商店の創始者である曾祖父の名前が佐次郎だからサになったらしいです。「サ 梅屋商店」をもじって『THE 梅屋商店』というタイトルにしました。   –ご家族や工場の方がご覧になったときの反応は? 従業員にはまだ見せていないです。親にも途中の段階では見せていますが、完成したものはまだです。 反応は微妙でした。なんだこれ? みたいな(笑) いつか工場で上映会しなくちゃいけないのかもしれません。   2011.5.27 『THE 梅屋商店』作品ページはこちら  


「イメージフォーラム・フェスティバル2011」の一般公募部門「ジャパン・トゥモロウ」の授賞式が、東京開催最終日の5 月8 日、同会場において行なわれ、入賞5 作品と観客賞1作品が下記の通り発表され、各賞が贈呈されました。   大賞 :「THE 梅屋商店」渡辺亮 寺山修司賞 :「遣取」小室萌佳 優秀賞 :「EDEN」磯部真也 優秀賞 :「17 歳」佐々木優 優秀賞 :「狐火」土屋由貴 観客賞(東京会場):「ホリデイ」平野遼   審査総評はこちら   本年度の最終審査員(50音順)は、市山尚三氏(映画プロデューサー)、奥山順市氏(映像作家)、村山匡一郎氏(映像研究者)の三名でした。 なお、今後の「イメージフォーラム・フェスティバル2011」の開催日程は、以下の通りで、観客賞は各会場において贈呈されます。   福岡:20011年6月1日(水)~5日(日)福岡市総合図書館 京都:2011年6月4日(土)~10日(金)京都シネマ 横浜:2011年6月10日(金)・11日(土)横浜美術館 名古屋:2011年6月15日(水)~19日(日)愛知芸術文化センター      


17歳:佐々木優

17歳 佐々木優/2010/ビデオ/カラー/22分 出演、スタッフ: You.S, Momoko.H, Tomohiro.S, Sagatto, Ojisan, LMC KOTEN and more 思い出せば、17歳の頃の寂しさはいつも自分の中で燃え上がっている。「あたしは、あたしであって、他の何にも”ゆるがない”」と思っていた17歳の頃。私は、入学した高校を3ヶ月でやめた。そして、通信制の高校に転入した。ひたむきに生きて、笑って、怒って、泣いた。いつもさびしかった。作品を通じて、17歳の頃のあたしと今の自分が変わってしまったことに気付いた。あたしはあたしであってわたしではなかった。(S.Y.) 20歳からみた17歳は遠い昔である。「17歳。みっくんが好きだった。いつも怖かった。」「感情のテンションがジェットコースターみたいだった。」作者自身が過去を自演するドラマ。高校時代の派手メイクを再現し、あの頃を語る。同性への憧れ、無為に過ごす日常の嫌悪、老いの恐怖…。熱病の様な時期をストレートに描く。 佐々木優 1990年生まれ、ゆとりド真ん中世代(台形の公式は教えられていません) 2009年、大正大学文学部表現文化学科映像文化コースに入学し、同校の石原康臣に師事。表現映像に触れてカルチャーショックを受け、作家活動を始める。 現在、大正大学在学中。 Twitter:http://twitter.com/yous1103 上映日 Hプログラム 東京パークタワーホール:5月3日(火)11:30 東京パークタワーホール:5月7日(土)16:30 京都:6月7日(火)16:30 、福岡:6月3日(金)14:00 名古屋:6月17日(金)12:00 横浜プログラム2 横浜:6月10日(金)14:10


APARTNESS:五十嵐耕平

APARTNESS 五十嵐耕平/2010/ビデオ/カラー/25分 出演:青木沙織 五十嵐耕平 スタッフ:日下部隆太、大野隆介、豊田知香、 稲葉雄介、大坂悠、高柳綾佳、片寄弥生 音楽: Sleepy Lemon (Urawa Hideki) 既に過ぎ去ってしまった個別の時間、感情は、その只中では饒舌にああでもない、こうでもないと語り、引き裂かれ、分離し、相容れない感情に振り回され、混沌として語られざる物語になっていく。そしてこの、”かつての饒舌な日々”こそが沈黙と呼ばれるものだろうし、しかしその沈黙が唯一、もう断絶して決して戻る事のないものを、それでもなんとか繋ぎ止めようとする力にも思える。(I.K.) アパートの一室で同棲する男女。その会話の内容から二人の別れが近いことを知る。部屋が狭い物理的な条件も手伝って、スタッフがとらえる映像は終始キャストと接近している。その極端な密着性と一見ありふれているようで周到に用意された日常会話が、見る側をリアリティの極みに誘い込んだ。こんなに近いのに、なぜ別離があるのかと。 五十嵐耕平 1983年静岡県生まれ。 東京造形大学の映画専攻に進学し、在学3年次に制作した初長編映画『夜来風雨の声』(やらいふううのこえ)が、cinema digital seoul 2008 film festivalのコンペティション部門に出品され韓国批評家賞を受賞するなど、その後いくつかの映画祭で上映されている。 作家HP:http://igarashikohei.tumblr.com/ Twitter:http://twitter.com/#!/igakoh 上映日 Fプログラム 東京パークタワーホール:5月2日(月)16:30 東京パークタワーホール:5月5日(木)19:00 京都:6月8日(水)14:00 、福岡:6月2日(木)16:20 名古屋:6月16日(木)14:30 横浜プログラム1 横浜:6月10日(金)12:00


EDEN:磯部真也

EDEN 磯部真也/2011/16ミリ/カラー/15分 スタッフ:伊藤らん、大谷理仁、青木岳明、深串大樹 岩手県八幡平市にある巨大廃墟、旧松尾鉱山跡。かつてその場所は「雲上の楽園」と呼ばれ、一万人の暮らしがあった。十数棟の鉄筋コンクリートの廃墟はゆっくりと朽ち果てながら、それでも未だあり続けている。この作品ではその場所にある無常と永遠という相反する時間を映像化しようと試みました。(I.S.)    かつては地上の楽園として繁栄しただろう廃墟の巨大団地。そのとある一室、古いテープレコーダーから歌が流れ、灰皿には吸いかけの煙草。ティーカップに注がれた紅茶はまだ暖かい…。作者は執拗に朽ちた建築物を徘徊する。季節が過ぎ、豪雪に埋もれてもなおカメラは廻る。生活の消えた場所から物語を紡ぎだす祈りのドラマ。 磯部真也 1982年生まれ。神奈川県出身。2007年東京造形大学大学院卒業。 2009年イメージフォーラム映像研究所に入り卒業制作として『EDEN』を制作。 上映日 Cプログラム 東京パークタワーホール:5月1日(日)14:00 東京パークタワーホール:5月6日(金)16:30 京都:6月6日(月)14:00 、福岡:6月2日(木)14:00 名古屋:6月17日(金)17:00 横浜プログラム3 横浜:6月10日(金)16:30


EXIST:新山哲河

EXIST 新山 哲河/2010/ビデオ/カラー/2分 監督・映像: 新山哲河 音楽: 松本好央(FLOATING IN SPACE) 作品のテーマは「存在」です。風の揺らぎや光の輝きを切っ掛けに、空間に馴染んでいた透明物体が現れては突如として消えてゆく。与えられた時間の中で、ただ懸命に躍動、演舞し、その存在を表現し続ける。「それは個であり、集合体であり、全ては世界という存在の一部である」 そんなイメージを映像化しました。(N.T.) ニュートンとは異なり、ゲーテは色彩の生成に光と闇の両方が必要と捉えた。光と闇は作用し合う両極であり、その狭間に色彩が生まれるとする「色彩論」の感覚的図解のようなCG作品。膨大な計算で導きだされたデータの振る舞いであるにも関わらず、光と闇の躍動により一瞬生まれ出る色彩には、生命のあたたかみすら感じる 新山 哲河 CGディレクター/デザイナー。2009年、オリジナル作品『MIZU-HANABI』を発表。 作家HP:www.niiyama.com 上映日 Bプログラム 東京パークタワーホール:5月1日(日)11:30 東京パークタワーホール:5月6日(金)19:00 京都:6月8日(水)16:30 、福岡:6月1日(水)14:00 名古屋:6月15日(水)17:00 横浜プログラム2 横浜:6月10日(金)14:10


Que voz feio(醜い声):山本良浩

山本良浩/2011/ビデオ/白黒/8分 出演:小安雪子、小安悦子 イメージ、音、文字からなる意味解釈と知覚体験。映画はレベルを異にする認識の多重体である。継時的なそれを一つに統合するのは映画を見ているそれぞれの「私」だ。映画の内容および、それがどのように創られ、どのように見られるのか、といった映画を見る体験の総体に私は興味を持っており、観客に通常の映画を見るような画一化されたありかたではなく、多重的で、見るたびに「私」が変化するような認識を与えたいと考えている。(Y.Y.) 双子の女性が別々の場所にいる。柔らかな物腰で、幼少期のある事件を語りだす。鑑賞者は2画面の映像、音声、字幕を同時にうけとり、そこに微妙な差異がある事に徐々に気づく。片方に注視すると他方が疎かになり、双子の記憶と同様に、細部が混ざり曖昧になる。時間、話者、字幕など様々なレベルでの「差」を体験する映画。 山本良浩 1981年、千葉県柏市生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。東京芸術大学先端芸術表現専攻修士課程在籍。イメージ、音、文字、展示形式など、映像を「見る」という行為を異なる認識の多重体と捉えて、短編映像作品とインスタレーションを制作している。 上映日 Gプログラム 東京パークタワーホール:5月2日(月)11:30 東京パークタワーホール:5月5日(木)16:30 京都:6月7日(火)14:00 、福岡:6月2日(木)18:40 名古屋:6月15日(水)14:30 横浜プログラム2 横浜:6月10日(金)14:10


SPONCHOI Pispochoi:pecoraped

SPONCHOI Pispochoi pecoraped/2010/ビデオ/カラー/6分 音楽:hitoshi(Senses Circuit) 人間は実は、意思をもった虫たちの集まりだった。 そこへ突如現れた大きな寄生虫SPONCHOI Pispochoi。 虫たちとSPONCHOI Pispochoiは、いかに決別するのだろうか?(P.) 「モーニーング! いい朝ね。」「今日も素敵ね。オホホホホ!」 人々の平和な朝は突如、異物によって破られた。赤いホクロを発端とする惑星規模の集団感染。コミカルなキャラクターが、歌いながら楽観的に破滅に向かう様を描くドローイング・アニメーション。異物との戦いは、全人類の『幼年期の終り』へと導かれるのだった。 pecoraped 杉殿育恵と西尾都によるクリエイティブユニット。2006年結成。2007年『迷走赤ずきん』制作。国内外の映画祭で多数上映される。迷走赤ずきん展開催(東京)。2008年『調査』制作(NHK 星新一ショートショートより)。it’s ONORE展に参加(東京)。広島市立大学大学院メディア造形分野修了。2010年SPONCHOI Pispochoi展開催(東京)。 作家HP:http://pecoraped.com/ 上映日 Aプログラム 東京パークタワーホール:4月30日(土)14:00 東京パークタワーホール:5月7日(土)14:00 京都:6月8日(水)19:00、福岡:6月4日(土)13:00、名古屋:6月18日(土)17:00 横浜プログラム1 横浜:6月10日(金)12:00


THE IKIZAMA:中嶋駿介

THE IKIZAMA 中嶋駿介/2010/ビデオ/カラー/14分 出演:中嶋駿介、オオカマキリ、ショウリョウバッタ、ハリガネムシ 撮影をしていると時に作者の意図していない事が起きたりする。この映像は自分のアパートから学校に行くというドキュメンタリーとして撮影したもので、映像に登場する昆虫は全て偶然その場に居合わせたものである。彼らの存在は私の当初の撮影意図を難なく凌駕し、その生き様を私に惜しみなく見せつけた。是非とも彼らの生き様を最後まで見届けて欲しい。(N.S.) 「えーっと、今から僕のアパートから大学までの道のりを紹介したいとおもいまーす…。」炎天下のある日。僕は起こりうる日常のドラマを実況中継するのだ。主人公は作者が拾い歩くゴミと路傍の虫たち。そして、映画の神様は僕と虫たちにも奇跡を起こしてくれた! 作者のリアクションと細かい話芸が光る「今、ここ」の物語。 中嶋駿介 1987年、富山県氷見市生まれ。2007年、長岡造形大学在学中、クリエイティブチーム「ナカジマセイサクショ」を結成。主にヒップホップアーティストのミュージックビデオなどを手掛ける。2010年、東京造形大学大学院に入学。主な作品に『彼女は死んだ』、『MEIGAZA』などがある。 上映日 Hプログラム 東京パークタワーホール:5月3日(火)11:30 東京パークタワーホール:5月7日(土)16:30 京都:6月7日(火)16:30 、福岡:6月3日(金)14:00 横浜:6月10日(金)19:00 ※横4 、名古屋:6月17日(金)12:00 横浜プログラム4 横浜:6月10日(金)19:00


THE 梅屋商店:渡辺亮

THE 梅屋商店 渡辺 亮/2010/ビデオ/カラー/9分 私の実家は水産加工業を営んでいる。その工場から聞こえる機械音を聞き、たくさんの捌かれた魚を見て育ってきた。幼少の頃の私には、工場全体が不気味な機械音を鳴らし、魚たちの目には怨念のようなものを感じていた。これは私の記憶の映画である。(W.R.) 水産加工工場のドキュメントと思いきや、夜の無人の工場。リズミカルなノイズ音を背景に、開閉する扉、走り回る台車やフォークリフト、動き回る電気の配線コードやゴム手袋の群れ、また壁に拡大投映された魚たちの目など、コマ落しやズームで加速された奇妙でシュールな世界が展開する。作者の幼い頃から残る記憶の世界だ。 渡辺 亮 1986年、茨城県生まれ。イメージフォーラム映像研究所33期生。今回の『THE 梅屋商店』が初作品。 上映日 Eプログラム 東京パークタワーホール:5月1日(日)16:30 東京パークタワーホール:5月6日(金)14:00 京都:6月6日(月)16:30 、福岡:6月1日(水)18:40 名古屋:6月17日(金)14:30 横浜プログラム3 横浜:6月10日(金)16:30


TWO TEA TWO:一瀬晧コ

TWO TEA TWO 一瀬皓コ/2010/ビデオ/カラー/3分/ 脚本:一瀬皓コ 撮影:本田愛 コンポジット・編集・音:上甲トモヨシ マージは過去をイェナーニョと呼んだ。マージはカフェでイェナーニョと待ち合わせをする。離れた二人はもう一度同じになる。それは元とは違う違和感を持つ形。マージは新しい形でイェナーニョと共に生きていく決断をする。(I.H.) ニョキっと起きた女が部屋を飛び出す。枕の凹みがもどるより前に。数歩で喫茶店に着、即お茶。程なく、ニョキっと別の女がガラス越しに表れた。次の瞬間、女と相対し即お茶。鏡像か、双子か、ドッペルゲンガーか? そもそも女は目覚ましで起きたのか。奔放な描線で、二人で一人の女を現したドローイング・アニメーション! 一瀬皓コ 1985年2月山梨県生まれ。東京工芸大学芸術学部アニメーション学科に第一期生として入学。在学中は古川タクに教えを受ける。卒業後は同大学大学院を修了し、非常勤講師となる。代表作は『かなしい朝ごはん』『ウシニチ』など。現在は上甲トモヨシと共にユニットDecoVocalで活動。 人、動物、トリ、植物、地球が好きです。 作家HP:http://ichinose165.com/ 上映日 Aプログラム 東京パークタワーホール:4月30日(土)14:00 東京パークタワーホール:5月7日(土)14:00 京都:6月8日(水)19:00、福岡:6月4日(土)13:00、名古屋:6月18日(土)17:00 横浜プログラム2 横浜:6月10日(金)14:10


あめやさめ:タケヒロ雄太

あめやさめ タケヒロ 雄太/2010/ビデオ/カラー/70分 スタッフ・撮影協力:田中愛美 作詞・作曲:misa 2010年1月、じいちゃんが抗癌剤の治療をやめた。人の生き様と死に様、それは滴れ落ちた雨粒の様に、静かに一番安らげるところまで流れていってしまう。同じ11月3日に生まれた私とじいちゃんの、一歩ずつ、強く真っすぐに向き合う時間。(T.Y.) 祖父と同じ誕生日の作者が末期ガンを患う祖父の最期と向かい合うドキュメンタリー。山間の佇まいや夕景などの素晴らしい風景ショットに、ナレーションとともに挿入される雨や水の滴り。そこに人生の流れを象徴的に描きながら、此岸と彼岸を見つめる哀感を帯びた世界が展開する。生とは何だろうか、家族とは何だろうか。 タケヒロ 雄太 1982年生まれ 元テニスコーチ、元寿司屋、元留学生。『過日』・『Like a Drop Rain』・『SEE SEA SAW』など、エクスペリメンタルなフィルム作品を海外で発表してきた。 上映日 Gプログラム 東京パークタワーホール:5月2日(月)11:30 東京パークタワーホール:5月5日(木)16:30 京都:6月7日(火)14:00 、福岡:6月2日(木)18:40 名古屋:6月15日(水)14:30 横浜プログラム3 横浜:6月10日(金)16:30


内なるこども:田中愛美

内なるこども 田中愛美/2010/8ミリ/カラー/18分 出演:霍見ふみや わたしは自身の心臓や生殖器官を意識したことがない。きっとわたしの体内は空洞で、人格も持たない複数の【わたし】が居場所を探して彷徨っている。体内では【わたし】という一人称を複数の【わたし】が使う。わたしが【わたし】でなくなると、【あなた】は体外へ排出される。生命の円環。(T.M.) 愛でるようにクローズアップされた観覧車。少女が無心にブランコをリボンで飾る。少女のお腹には真珠の発疹が浮き上がる。大草原に浮かぶゴンドラ、霧の中のバレリーナ。羅列されたイメージはどれも儚くて懐かしい。理解し難い外の世界から身を守るかのように、世界に装飾を施す。8ミリフィルムの荒い粒子が効果的な映像詩。 田中愛美 1989年2月8日生まれ。17才からビデオ作品を制作し、19才で8ミリフィルムカメラに出会いフィルム作品を制作し始める。『内なるこども』は8ミリフィルム作品第4作品目。女性や構造をテーマに映画を撮り続けている。『スイソウ』『その日観覧車は自殺する』『囮GONGE』など。 上映日 Cプログラム 東京パークタワーホール:5月1日(日)14:00 東京パークタワーホール:5月6日(金)16:30 京都:6月6日(月)14:00 、福岡:6月2日(木)14:00 名古屋:6月17日(金)17:00 横浜プログラム3 横浜:6月10日(金)16:30


おもかげ:佐竹真紀

おもかげ 佐竹真紀/2010/ビデオ/カラー/6分 協力:佐竹守平、佐竹旬子、佐竹亜矢、佐竹修一 写真:浦島甲一 尊敬する写真家の祖父が亡くなって10年が経とうとしています。忘れられた視点、祖父が見てたであろう風景。残された写真には、撮られた記憶のない幼い私がいました。祖父が毎日のように撮り続けていた故郷のハルニレの木は、優しく私を待っていてくれました。(S.M.) 編集台の上の一葉の写真。その真っ直ぐに伸びた道路のモノクロ写真が現在の同じ道路のカラー映像に切り替わり、そこに掲げられた鏡に映る作者の姿が風景のコマ撮りとともに幼い作者の写真と交替する。モノクロとカラー、過去と現在、撮られたものと撮るものを交錯させながら時間と空間の幻惑的な重層を浮かび上がらせる。 佐竹真紀 1980年北海道豊頃町生まれ。2005年北海道教育大学大学院美術教育専修(デザイン)修了。札幌市在住。写真やビデオが好きな家族により、自然と記録するということに興味をもつ。写真アニメーションによる表現、“記録”と“記憶”の狭間にある世界を探究している。『インターバル』、『暮らしあと』など。 作家HP:http://www.makisatake.com facebook:http://ja-jp.facebook.com/people/Maki-Satake/1400666692 上映日 Aプログラム 東京パークタワーホール:4月30日(土)14:00 東京パークタワーホール:5月7日(土)14:00 京都:6月8日(土)19:00 、福岡:6月4日(土)13:00 名古屋:6月18日(土)17:00 横浜プログラム1 横浜:6月10日(金)12:00


狐火:土屋由貴

狐火 土屋由貴/2010/ビデオ/カラー/30分 はじめに火があった。記憶の中に流れる、ゆらめく火を映す川。提灯、ぼんぼり、古い街。調べてみると、描かれた火のもつかたちに惹かれた。そこからは、神様、妖怪、火の百鬼夜行。一つのモチーフが自分の中で様々なイメージに変化していった。現象から抽象へ―炎色反応や高速度撮影を繰り返し、絵画の中の炎に近付ける。映像は、具体的な物語を繋ぐだけのものではない。ここに流れる時間が、現象であり、化学であり、心象となるように。(T.Y.) 岩肌のようにざらついた黒い背景を前に、ふんわりと動き回る白い炎の群れ。時には左右対称に、時には上下対称に、浮かんだり落下したりする。その無秩序のようで秩序立ったシュールで摩訶不思議な絵模様が紡ぎ出す多様なイメージは見るものの想像力を刺激する。やがて画面の中央に紅蓮の炎が立ち上り、白い煙で覆われていく。 土屋由貴 1985年東京都生まれ。2010年武蔵野美術大学大学院映像コース修了。 2007年『沚(なぎさ)』イメージフォーラム・フェスティバル一般公募部門入選。 作家HP:http://yukitcy.tumblr.com/ 上映日 Bプログラム 東京パークタワーホール:5月1日(日)11:30 東京パークタワーホール:5月6日(金)19:00 京都:6月8日(水)16:30 、福岡:6月1日(水)14:00 名古屋:6月15日(水)17:00 横浜プログラム2 横浜:6月10日(金)14:10


自画像「烏」:孫于景

自画像「烏」 孫于景/2010/ビデオ/カラー/15分 この作品における重点と特色は実写映像の抽象化の質にある。私が繰り返し試みてきた自作の撮影装置による形態操作と時間軸上の操作を更に発展させ、撮影素材から丁寧に固有名詞を剥ぎ取り、私の世界観に背かない限りにおいての抽象化を試みた。本来、実写映像は抽象表現に適していない。それにもかかわらず、私がその抽象化に向かうのは、情報性や個別性を超え、、 そのものの本質を捉えながら、普遍性、純粋性を表現することに価値を見出しているからである。(S.W.) 15分の映像全編が特殊な光学的撮影装置によって撮影され、ランダムな凹凸状に屈折した光の集合が画面を覆う。それは背景を思い切り抽象化した印象派絵画を彷彿とさせ、ムンクの「叫び」における人物の代わりに黒を纏った人影が果てしないダンスを繰り広げる。背後の歩行音、草むらのざわめき。音と映像の繊細な調和も注目したい。 孫于景 (ソン ウギョン) 1976年韓国生まれ。 韓国の桂園造形藝術大学卒業後、劇団美醜入団。 武蔵野美術大学院卒業。 作家HP:http://wmay30.tistory.com/ 上映日 Eプログラム 東京パークタワーホール:5月1日(日)16:30 東京パークタワーホール:5月6日(金)14:00 京都:6月6日(月)16:30 、福岡:6月1日(水)18:40 名古屋:6月17日(金)14:30 横浜プログラム4 横浜:6月10日(金)19:00


神木本町の犬:玉野真一

神木本町の犬 玉野真一/2011/ビデオ/カラー/17分 出演:玉野真一 撮影:林賢吾 協力:寺嶋悟、池田忠司、坂本翼、増田淳 太腿の裏にピローンと伸びた一本の毛が見慣れた景色を変えて行き、男は日常的空間でリンゴを投げ、森で蚊に刺され、爪を切り、坂を転がり、川に落ちる。犬は見ていた、知っていた。僕が犬を恐れていることを。だが、家の近所から見える富士山が本当に富士山かどうかは分からないし、明日もまた見えるとは限らない。(T.S.) 動作を起こす対象が常に横滑りし、緊張だけが無限に持続していく一種のダンスフィルムである。シャワーの後、妙に目立つ一本のむだ毛から悪夢のメカニズムが始動する。計算か?即興か? 虫や石など、小さき物たち全てが関連する殺人なきサスペンス。社会的関連から逸脱したちっぽけな男の身体は、町と共鳴する楽器と化す。 玉野真一 1975年生まれ。イメージフォーラム映像研究所24期卒。20歳の時、椎間板ヘルニアの手術をし、生まれつき腰が弱いことを知る。「身体」と「言葉を発する以前の世界」を軸に展開する映像作品を主に8mmで制作。今回初めてのビデオ作品。主な作品:『よっちゃんロシア・残りもの』(01)『こうそく坊主』(02)など。 上映日 Eプログラム 東京パークタワーホール:5月1日(日)16:30 東京パークタワーホール:5月6日(金)14:00 京都:6月6日(月)16:30 、福岡:6月1日(水)18:40 名古屋:6月17日(金)14:30 横浜プログラム4 横浜:6月10日(金)19:00


セックスと長野とイルカ:酒井一樹

セックスと長野とイルカ 酒井一樹/2010/ビデオ/カラー/19分 出演:遠藤麻衣、河内尚子、渡辺万莉菜 “やみにきらめくおまえの光 どこからくるのか わたしは知らない ちかいとも見え とおいとも見える おまえの名をわたしは知らない たとえおまえがなんであれ ひかれ ひかれ 小さな星よ!” これはアイルランドの童謡を引用したミヒャエル・エンデの「モモ」からの二重引用ですが、わりといつもこんな事を考えています。この作品を撮っている時も考えていました。人の中に潜んでいる微かな光のようなものを感じて頂けたら幸いです。(S.K.) お腹の中にイルカがいる夢をみた女。長野の山奥で、熊に怯えて暮らした少女時代を語る女。恋人に試みようとした”ある行為”を告白する女。プライベートな空間で淡々と語られる3つの独白で構成されたドラマ。心理的な警戒距離の内側で、長回しで聞き手に徹するカメラ。ソフトフォーカスでより一層親密な空気を演出する。 酒井一樹 1988年2月4日生まれ、東京都多摩市出身。東京藝術大学油画科版画専攻修士1年。現在、主に映像と版画を表現媒体として作品を制作している。 Twitter:http://twitter.com/takizawa2kazuki facebook:http://www.facebook.com/profile.php?id=100002159710808 上映日 Fプログラム 東京パークタワーホール:5月2日(月)16:30 東京パークタワーホール:5月5日(木)19:00 京都:6月8日(水)14:00 、福岡:6月2日(木)16:20 名古屋:6月16日(木)14:30 横浜プログラム2 横浜:6月10日(金)14:10


洗濯日和:石毛麻梨子

洗濯日和 石毛 麻梨子/2011年/ビデオ/カラー/13分 出演:神谷 彩乃 一人でいる時間。 自分自身とたたかう時間。 残酷なほど、良く晴れた空。 今日は洗濯日和。(I.M.) 固定カメラでとらえたアパートの部屋。外から人の声や電車の音が聞こえる中、1人暮らしの若い女性が布団を押入れに片づけ、泣きながら洗濯物を干す。天気の良い日常の何気ないひと時。洗濯を干す行為の中で露呈する若い女性の感情の微妙な揺れが見え隠れする様は味わい深い。携帯電話で呼び出された彼女はどこに行くのか。 石毛 麻梨子 1981年、東京都出身。映画美学校第九期フィクションコース高等科修了。大学在学中に、長編映画『THE☆SETOUCHI』(03)を製作。その後、三ヶ月に一本のペースで短編を撮り続け、『ポーポロ動物園』(09)が調布市ショートフィルムコンペティションでグランプリを受賞、第1回丹後映像フェスティバルにて入選、第3回ちば映画祭でも上映される。2010年「桃まつりpresentsうそ」で大木萠と『代理人会議』を共同監督し、渋谷ユーロスペース等で上映。 Twitter:http://twitter.com/#!/8_monrou_8 facebook:http://www.facebook.com/profile.php?id=1305444742 上映日 Eプログラム 東京パークタワーホール:5月1日(日)16:30 東京パークタワーホール:5月6日(金)14:00 京都:6月6日(月)16:30 、福岡:6月1日(水)18:40 名古屋:6月17日(金)14:30 横浜プログラム4 横浜:6月10日(金)19:00


冬を混ぜて庭:畑純平

冬を混ぜて庭 畑純平/2010/ビデオ/カラー/31分 出演:荻原彩、長谷川紗綾 、吉田詩子、大矢雄嗣、島村朋実 時間も空間も人の記憶も、あたりまえのように従いさえしなければ、たゆたう水のような存在に思える。それをかき混ぜると映像の中だけの「庭」が立ち現れ、時々その目眩のするような庭を訪れたくなる。(H.J.) 紛失した読みかけの文庫本を友人と探しまわる。大学のキャンバスの一角を巡回するが、いつしか時間の迷宮に遭遇。何が時の切れ目か、どこで特定のゾーンに踏み入れたか、30分間長回しのワンショットの展開の中でそれを探すのは観客の仕事である。特殊効果を使わず、ごく日常的な人物の振るまいがかえってミステリアスな効果をあげる。 畑純平 1982年、京都府京都市生まれ。武蔵野美術大学映像学科に入学し、写真、アニメ、ドラマなど映像を幅広く学ぶ。現在、娯楽とアートの中間に位置する映像作品を模索している。 Twitter:http://twitter.com/HtJump 上映日 Fプログラム 東京パークタワーホール:5月2日(月)16:30 東京パークタワーホール:5月5日(木)19:00 京都:6月8日(水)14:00 、福岡:6月2日(木)16:20 名古屋:6月16日(木)14:30 横浜プログラム4 横浜:6月10日(金)19:00


蛇が泣く:青柳清美

蛇が泣く 青柳清美/2010/ビデオ/カラー/5分 制作:青柳清美 草むらで女の子が蛇に出会う。ぎょっとしつつも、蛇の艶かしさに惹かれた女の子は、やがて蛇を愛しはじめる… 阿部定事件から着想。ありふれていないようで、ありふれた、愛。(A.K.) 野原に佇む少女の元に、一匹の蛇が近づく。赤くヌラヌラした身体をくねらせて少女にまとわりつくが、少女はそれを受け入れた。少女の愛に呼応するかのように、蛇は泣く。草原は激しい風にあおられ、衝撃の結末を迎える。精密な人形で複雑な感情を現した立体アニメーション。阿部定の有名な発言が効果的にインサートされる。 青柳清美 ちいさな学校卒業。2009年「嘘すぎる」イメージフォーラムフェスティバル招待(ほしのあきら、横溝千夏との共作)、2010年「蛇が泣く」Ask?映像祭 入賞、調布映画祭 入選。 Twitter:http://twitter.com/meeiimeei 上映日 Fプログラム 東京パークタワーホール:5月2日(月)16:30 東京パークタワーホール:5月5日(木)19:00 京都:6月8日(水)14:00 、福岡:6月2日(木)16:20 名古屋:6月16日(木)14:30 横浜プログラム1 横浜:6月10日(金)12:00


ホリディ:平野遼

ホリデイ 平野遼/2011/ビデオ/カラー/15分 声の出演:伊藤しおり、林洸理、平野翔 音楽:YO=RU=RUSSELL、江本祐介 この作品を作っていたときは真夏だった。私の部屋にはクーラーが無く、酷い暑さでおかしくなりそうだった。汗は滝のように流れる。テレビからは雨の中行われた、韓流スタアの葬儀の様子が流れ、一人のファンが「この雨わかります? ヨンハの雨ですよ 私たちにありがとうって言ってるんです」とコメントしていた。飼っていたイモリは、大分前水槽から脱走したが、この夏に干からびた状態で発見した。(H.R.) まるで襖絵のような立派な松の向こうに湖が見える、風光明媚なリゾート地が舞台。けれど湖畔の舞台で演奏するのは、一片の耳に化ける歌姫、湖に大量の水を供給する小便小僧、そして人格を持ったイモリもどきと書けば、これがただの「休日」の光景でないことは一目瞭然。「お〜い」の呼びかけにこだまするのは悪夢か、記憶の断片か。 平野遼 1988年埼玉県春日部市生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科芸術コース 卒業見込。主にオリジナルアニメや、写真作品などを製作。紙芝居もやります。お化けやカンフー映画が好き。 Twitter:http://twitter.com/hira_ryo 上映日 Aプログラム 東京パークタワーホール:4月30日(土)14:00 東京パークタワーホール:5月7日(土)14:00 京都:6月8日(土)19:00 、福岡:6月4日(土)13:00 名古屋:6月18日(土)17:00 横浜プログラム2 横浜:6月10日(金)14:10


待ち合わせ:白玖欣宏+平岡佐知子

待ち合わせ 白玖欣宏+平岡佐知子/2011/ビデオ/カラー/3分 出演:川村瑠璃 整音:堀修生 協力:清水薫、高澤ナホ、谷端実、古澤龍、村上雄大 人の体に焦点をあて、シルエットで表現し、画面内の情報量を体の情報とレイヤー情報、音声情報しか与えない様にする事により、視聴者の奥行き知覚、遮蔽関係といった特有の視覚認識、更には視聴者の各々の自由な解釈での、空間・背景・色の補完を促す事を狙った。実際に友人と落ち合う迄の「待ち合わせ」の模様を記録した動画と音声素材を基に、友人が発した言葉のみを「ロトスコープ」を用い、画面上に抽出するという手法によって制作した作品。「群」から「個」を浮かび上がらせたかった。(H.Y. + H. S.) 人間は視覚的特徴をパターンで認識している。では実際に、ある部分を抽出してみたら世界はどう映るのか。渋谷駅前スクランブル交差点で試みてみよう。電話で逐一描写された服装の該当部分を、リアルタイムで拾い出し、切り抜き、白い画面に黒で位置と数に変換する! 気の遠くなる作業で人間の「当たり前」を再現する試み。 白玖欣宏+平岡佐知子 東京藝術大学大学院 映像研究科 修了(白玖)。武蔵野美術大学大学院 造形研究科 在学(平岡)。2008年より共同でデザイン制作を開始。「イメージフォーラム・フェスティバル 2009」入選、「ロッテルダム国際映画祭 2010」、「香港国際映画祭 2010」正式招待、「2010 ASK?映像祭」ASK?賞、「BACA-JA 2010」優秀作、「第14回 調布ショートフィルム・コンペティション」入選、「シンセダイ・シネマ・フェスティバル 2011」正式招待等を果たす。 facebook(白玖):http://ja-jp.facebook.com/people/Yoshihiro-Haku/100001467757435 facebook(平岡):http://ja-jp.facebook.com/people/Sachiko-Hiraoka/100002038936009 上映日 Gプログラム 東京パークタワーホール:5月2日(月)11:30 東京パークタワーホール:5月5日(木)16:30 京都:6月7日(火)14:00 、福岡:6月2日(木)18:40 名古屋:6月15日(水)14:30 横浜プログラム1 横浜:6月10日(金)12:00


遣取:小室萌佳

遣取 小室萌佳/2011/ビデオ/カラー/10分 万物は出会い生成と消滅を繰り返し、物を渡し合い、その遣り取りは無限に続くけれど、渦中をさまよう生は滑稽なまでの反復と秩序をもってここにあり続ける。私達は増減のしようが無い絶対量を、凝固し循環させては擦り合い、そしてどこへもいかない。 映像の実写素材は片栗粉、水、セミの足、ビールの泡。沢山の本物が私の制作を助けてくれた。(K.M.) キネティックアートを彷彿とさせる映像作品。ゴボゴボという泡音とともに現れる多彩なオブジェは、進化の過程かそれともただ停滞しているだけなのか。大きな展開の変化は見られないが、不思議な現象を発見したときの感動が10分間持続する。細部と全体を交互に見比べ、我々の知り得る世界観と強引に結びつける鑑賞法も一考されたし。 小室萌佳 1989年、広島県呉市生まれ。ライフワークである絵画の物語性を発展させ、映像・映像空間を制作する。2011年、武蔵野美術大学卒業・修了制作展で優秀賞を受賞。同大学映像学科卒業。現在、東京藝術大学大学院 美術研究科 先端芸術表現専攻 在学中。 上映日 Bプログラム 東京パークタワーホール:5月1日(日)11:30 東京パークタワーホール:5月6日(金)19:00 京都:6月8日(水)16:30 、福岡:6月1日(水)14:00 名古屋:6月15日(水)17:00 横浜プログラム1 横浜:6月10日(金)12:00


ラブ!ミー!テンダー!:小林由美子

ラブ!ミー!テンダー! 小林 由美子/2010/ビデオ/カラー/29分 撮影:小林由美子 出演:小林芳治、小林トク子 ジャニーズの追っかけをして少年に無償の愛を捧げる娘、田舎で朝から晩まで働く父と母。末っ子の私は家を継げないから、かわりにカメラをまわし続ける。撮り続けたテープを見返したら、いつも家族ばかり撮っていた。ハードディスクの中の映像を再生して再撮して、フィルムもデジタルも過去も今も現実も願望もいっしょくたんにしてもわかんないくらい変わらない。アイドルの追っかけをしているダメな娘は、一生娘でいたいんです。(K.Y.) 私はずっと男児アイドル(ジャニーズJr)の追っかけの一員である。そこは嫉妬の渦巻く厳格な階層社会だ。「婿取り」と称してウエディングドレスで男子学生も追っかける事もある。どんな時も、ビデオカメラが回っている。長年撮り貯めた膨大な「私」。そんな私のいるべき場所を求め、それらを暴力的にリミックスしてみた! 小林 由美子 栃木県真岡市出身。多摩美術大学映像演劇学科卒業。半径60cmの極私的な映像を撮り続ける。大手レコード会社にてアイドルのMVやライブ映像のプロデュースを経て、女は27歳で迷うを見事に体現し、現在は日本人女子目線で批評を書き殴ったり「NAMAE」と言うミニコミを制作しつつ、映像作家・文筆業などしています。 Twitter:http://twitter.com/yumeco6 blog:http://yumeco6.blogspot.com/ 上映日 Hプログラム 東京パークタワーホール:5月3日(火)11:30 東京パークタワーホール:5月7日(土)16:30 京都:6月7日(火)16:30 、福岡:6月3日(金)14:00 名古屋:6月17日(金)12:00 横浜プログラム1 横浜:6月10日(金)12:00


私の痕跡:永岡大輔

私の痕跡 永岡大輔/2010/ビデオ/カラー/4分 作曲:渡辺 裕紀子 音楽タイトル:rutick-tack-tick ヴァイオリン:伊藤真奈子 ピアノ:保科有希 協力:SUKJU Na ドローイングの時間の相転移としての映像表現を目指しています。連続する描いては消すと言う行為の膨大な記録は、最終的に時間の速度を変化させる事で、物語へと勧賞者を導きます。しかし、常に映像に現れる作者の身体は、行為の記録であると言うメタ構造を見せつけ、勧賞者を揺さぶりつつ展開します。今回の作品では、オフィスの休憩室で繰り広げられる、人間の振る舞いやそこに産まれるものについて描いています。(N.D.) 白い画用紙に鉛筆で次々に人物や小道具が描写される。作者の片手も映り込み、コマ撮りで高速に画ができあがる。アクションが起こる度、実直に描いては消し、描いては消し…。 全ての痕跡を残す事で動きが持続して見えるコミカルな映像。身体表現であり、完成する事のない絵画であり、アニメを考察するアニメーションである。 永岡大輔 現代美術作家。1973年、山形生まれ。東京在住。ウィンブルドンスクールオブアート修士修了。映像、平面作品を中心に、個人やコミュニティーといった移ろい行く境界線上にあらわれる世界を表現している。国内外の展覧会において作品を発表。近年ではバルセロナ・アート・コンテンポラリーフェスティバル2010、『JAPAN VIDEO WINDOW』Galerija DUPLEX/10m2(サラエヴォ)等に参加。 facebook:http://www.facebook.com/profile.php?id=1208832362 上映日 Aプログラム 東京パークタワーホール:4月30日(土)14:00 東京パークタワーホール:5月7日(土)14:00 京都:6月8日(土)19:00 、福岡:6月4日(土)13:00 名古屋:6月18日(土)17:00 横浜プログラム1 横浜:6月10日(金)12:00