特集:創造するドキュメンタリー、無限の映画眼

特集:創造するドキュメンタリー、無限の映画眼

特集:創造するドキュメンタリー、無限の映画眼

映像は単なる記録を超えて、新たな知覚を獲得し、世界の創造を試みる。先駆的な映像作品は、常にその地平への可能性を示してきた。 「世界で最も重要なものは、世界を映画的に感じること」(ジガ・ヴェルトフ)――カメラの眼は人間の知覚を超えるとしたヴェルトフの宣言から90年を経た今、彼の『カメラを持った男』を超えるような知覚体験に、映画は到達しているだろうか?
1971年のマイケル・スノウによる『セントラル・リージョン』は、映画にのみが獲得しうる視覚体験を追求した結果生まれた傑作。カナダ北部の荒野を、ロボットアームに装着されたカメラが縦横に動き探査する。
ルシアン・キャステイン=テイラーとヴェレーナ・パラヴェルの『リヴァイアサン』(2012)は、映像表現のフロンティアにまだまだ開拓の余地があることを示した傑作ドキュメンタリー。極小のカメラが、魚やカモメの目線になって海中・空中を自由に行きかうこの作品が与えるのは、「映画カメラは、無限に改良することが出来る」と言ったヴェルトフが夢見た、世界の新しい知覚体験そのものではないだろうか。
イメージフォーラム・フェスティバル2013では、“事実を客観的に記録する”だけに留まらない、映像表現としてのドキュメンタリーの可能性にフォーカスをあてる。


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