2014 / デジタル / カラー / 40分(ドイツ+日本)
はじめは三角形、その後は六角形に…。突飛な建築構造の幾何学的DNAである六角形は、あり得ない程スケールを欠いている。ゆっくりと、廊下、開口部、景色、空間… 次第に巨大な建築物が明らかにされる。
『メタボリズムをこえて』ははじめのショットから、フレキシブルで、大規模で、要望に応じて拡張可能な、そんな未来社会の生活を思い描く建築ユートピアへの陶酔を告げる。気がつくと、国立京都国際会館かの有名な丹下健三の弟子であった日本人建築家、大谷幸夫が1966年に設計した建物の中にいる。数々の記録資料が、この場で起きたもっとも重要な出来事が1997年の気候変動枠組条約締約国会議であったということを呼び起こさせる。
記憶に残っているのはアル・ゴア。環境活動家で映像作家でもあり、大統領にもう少しでなるところだった人物だ。会議の準備と運営についての見解をそのまま語るインタビューがこの映画の核心だ。会議は気候変動枠組条約のもとに、京都議定書と呼ばれる条約に結実した。大谷は、2013年に89歳で亡くなった。彼の世代が持っていた、崇高な楽観性は失われてしまった。最後に、その巨大さにも関わらず理想的な形で風景に調和し溶け込んでいる、建物の外観を静かでクリアなショットが映し出す。
(マリア・モライス/トルステン・クロスター)
1976年ウルム生まれで映像作家のステファニー・ガウスと、1970年シュパイヤー生まれで映像作家、小説家、カメラマンのフォルカー・ザッテルは、ベルリン在住。ザッテルのドキュメンタリー作品『アンダー・コントロール』はベルリン国際映画祭フォーラム部門でプレミア上映された。
東京 パークタワーホール:4/30 18:45
京都:5/20 14:30
福岡:6/8 13:10
名古屋:6/20 16:30