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ウォーター・アンド・パワー

ウォーター・アンド・パワー
 

パット・オニール/1989/35ミリ/60分(アメリカ)
 
監督、製作:パット・オニール/音響デザイン:ジョージ・ロックウッド/エレクトロニクスデザイン、モーションコントロール・ソフトウェア:マーク・マデル/メカニカルデザイナー:ジョー・ルイス/オプティカル・プリンター:ベス・ブロック
  
『ウォーター・アンド・パワー』はアメリカのさまざまな土地で光と人の動きをタイムラプス撮影(1コマ撮影およびバルブ撮影)した驚くべき長編実験映画である。パット・オニールは特殊効果のスペシャリストとして知られ、オプティカル・プリンター(特殊効果用のフィルム焼付装置)の技術者であった。同時に長いキャリアを持つ映像作家でもある彼のテクニックとイマジネーションを縦横無尽に集大成した力作が本作である。それはアメリカという土地を、都市生活のヴィジョンを、そして人々の生きる時間を、圧縮されたヴィジュアルな「風景」としてスクリーンに提示する。そこでは日常生活とファンタジーが接し、またトランスフォームされる。その複雑なイメージの連鎖と密度は、単純な記述を拒絶し、視覚と脳に直接的に働きかける。昼から夜へ、砂漠から都市へ、まるで旅行者の心の状態のように切れ目なく変化していく。独特なユーモアとアイロニーを込めながら……。「この映画はロサンゼルスという町を見事に喚起する。LAについて作られた最大の映画ではないとしても、最も詩的で最も深遠な映画であることは間違いない」。(ポール・アーサー)
 
作者は制作についてこう語っている。「何年間もスクリプトなしに、ただ場所と人間と条件のチャンスに頼りながら撮影を続けた。あとになって、水が主題として多く現れ、また周期的運動(宇宙や潮汐やカメラの動き、人物の反復的で弾道のような動き)が見えてきた。編集の段階では新しい素材がどんどん加わっていき、そこからストーリーや展開が生まれ、書かれたテキストも入ってくる。そしてたびたびエンディングがファーストシーンになるのだった」。
この映画は1980年からロケとテスト撮影を開始し、87-88年に本格的に撮影された。完成後はトロントでの実験映画会議で初公開され、ニューヨーク国際映画祭、ベルリン国際映画祭に招待出品され、大きな話題を呼んだ。
  

パット・オニール

1939年、ロサンゼルス生まれ。UCLA卒業後、CGのパイオニア、ロバート・エイベルと短編を制作。大学院でグラフィックデザインと写真を専攻。光に関心を持ち、彫刻的アッサンブラージュから映画へと移行する。63年から現在まで実験映画を多数制作。『ソウガス・シリーズ』(74)はオプティカルワークの傑作として日本でも度々上映されている。
 

上映日

東京 イメージフォーラム:4/29 21:15 Xプログラム
京都:5/22 16:45 Xプログラム
名古屋:6/26 14:00 Xプログラム

 
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