伊藤圭吾/2015/デジタル/カラー/4分
アニメーション・編集・音響:伊藤圭吾/声:伊藤圭吾、清水俊介
「普段自分は何を見ているか」をテーマにした手描きアニメーション。制作には鉛筆、パステル、油絵の具を用いている。精神世界のように非現実的な電車内で外部との接触を絶ち、自らの顔面を内側に回転させ何も見なくなった若者と、その顔に黙々とゴミを詰め込んでいく男を描く。(I.K.)
鉛筆画によるアニメーション。他人とのコミュニケーションが希薄で、機械によって反復される声だけが響く地下鉄の車両に、顔の裏返った人だけが乗りあわせている。何者かの手が乗客の「顔」を裏返し続ける。寒々しい空間描写で、空虚な現代社会をトレースして見せる。静かな破壊力を秘めた魅力のある作品。
1992年茨城生まれ。大阪芸術大学に進学し、2012年に『Drawing』を制作。翌2013年、『ピア』『繭のきおく』を制作し、2015年、卒業制作として『何も見なくていい』を制作。卒業後、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻へ進学。