プログラム

Q プロセッシング・ランドスケープ

6作品89分

 

KreisWrNeustadt_4.55.00

AからA ヨハン・ラーフ

 

the Voice of God ALIENS

神の声

 

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スリーピング・ディストリクト

 

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47番

 

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全ては無常、いくつかのものは変化する

 

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エイタスの消失

我々が“風景”と言う時、それは地理的・絵画的・写真的・神話的・政治的・伝記的意味を持ちうる。風景は我々を形づくると同時に、我々の自然に対する影響や社会政治状況を反映したものである。風景を、そういった変化のフィールドとして捉えた最新の実験映画をドイツのインディペンデント・キュレーター、フィリップ・ヴィトマンがセレクション。
プログラム・キュレーション:フィリップ・ヴィトマン(映像作家/キュレーター、ラボ・ベルリン メンバー)
 
世界が私たちの目前に広がる時、私たちは風景について語る。地平線を見つめ、自分たちのところから見えるものを遥かに超えた世界の存在を知る。私たちと地平線の間に存在する風景と呼ばれるものは、地理的、絵画的、写真的、神話的、政治的、伝記的な意味など、多様な意味を持つ。風景は育ったものと、建てられたものの両方で構成され、それは自然と文明、距離と近接、相互関係、道筋と軌道を示している。そこから人類の影響、権力構造、政治的利益、個の足跡と集団の歴史を読み解くことができるだろう。逆に、風景は風景そのものを私たちに刻み込みもする。私たちの動きを形作り、記憶を抱え、私たちの世界へのアクセスを瞬時に調整するのだ。
「プロセッシング・ランドスケープ」では、近年の実験映画で、暗にあるいは明確に風景と関わるものを集めている。変容や変化、シンボリックで政治的なジェスチャー、居住、ネットワークとスピード、表象といったことのプロセスとして。
ヨハン・ラーフの『AからA』は、オーストリアの南部にたくさんあるロータリーの体験型ドキュメントである。スピードと車の流れをコントロールするために作られた丸いドームは、構築環境的に空間を生み出す。機能は何も無いが空間が必要不可欠なその真ん中部分は、それ自体が表象としての島になる。ラーフはベスパに乗ってその周りを回り、そこに現れる馬鹿馬鹿しい象徴的なものたちを並べてみせる。
『47番』 はホセ・ミゲル・ビスカーヤの、一見無人にみえる風景をビデオで撮影したシリーズのひとつで、古典絵画の風景概念を参照しながら人類の文明が自然と気候に与えた影響の痕跡をも捉えている。ビデオ撮影した映像のコードに手を加えてオリジナルの自然主義的な画に逆らうことで、私たちが体験したことのない、アルゴリズムで自然を描く絵画を生み出している。
同じように私たちの知覚能力を試してくるのはベルント・リュッツェラーの『神の声』だ。まるで私たちの血管を流れる血のように建物の間を脈打って流れるムンバイのスピードとリズムを、低速度撮影した映像で映し出す。強大な都市そのものは威圧的であり、同時に脆弱でもある。公共空間は未確認物体やエイリアンの出現に脅かされている。あるいは、公共そのものが脅威なのか? むしろ家の中にいた方が良いのか? その場合、身も心も家に籠っている者と、外界の風景はどのような関係を結ぶのだろうか?
ティンネ・ゼナーは、そのような関係を『スリーピング・ディストリクト』で、経済志向に偏り過ぎた都市計画の創造物であるモスクワの外れのベッドタウンの生活を画と言葉で捉えることで描き出す。エンドレスに広がる箱のような構造はまるでリュッツェラーのムンバイの映像と対象をなすかのようだ。ここでは、生活は建物の内側で営まれ、そこに流れるのは人の往来ではなく変化の記憶である。ベッドタウンが出現し、そこに人間と彼らの持ち物が住着いていったという記憶だ。
建設による風景の緩やかな変化は、災害が引き起こす急な変化とよく似ている。アナ・マルツィアーノの『全ては無常、いくつかのものは変化する』は2009年に地震に見舞われたイタリアのアブルッツォ州ラクイラを舞台にし、会話と朗読の断片から、そこに住む人々が形作る風景を掬い上げる。もし地面に亀裂が入ったら、そこにある全財産 —それは人間でもある— は、どうしたら良いのか? 家屋が倒壊するだけでなく、社会的なつながりも破壊される。変化の跡は形のもあるものに、そして形のないものにも刻み込まれるのだ。
災害は違う形で、地理的な時間の尺度で計るならば救いの可能性をもたらすこともある。ポーリーヌ・ジュリエールは迫り来るツバルの地理的・文化的喪失を『エイタスの消失』で考察する。気候変動による海面上昇によりツバルは完全に水中に沈むだろうが、既に文化的には消失しているとジュリエールは考えている。植民地主義とグローバル化経済によって、島にあった紀元前の神話はとっくになくなってしまった。島の夜の闇を照らす電気が神話を消し去ってしまったし、この世界のある場所の地平線が島を欠いたものになるのはほぼ確実だろう。そしてそこでは、島を沈める脅威である波が、堆積物を運んで島を補強してもいる。(フィリップ・ヴィトマン)
 
AからA ヨハン・ラーフ/35ミリ(2D版上映)/5分/2011(オーストリア)
神の声 ベルント・リュッツェラー/デジタル/9分/2011(ドイツ)
スリーピング・ディストリクト ティンネ・ゼナー/デジタル/12分/2014(デンマーク)
47番 ホセ・ミゲル・ビスカーヤ/デジタル/11分/2014(オランダ)
全ては無常、いくつかのものは変化する アナ・マルツィアーノ/デジタル/17分/2011(フランス)
エイタスの消失 ポーリーヌ・ジュリエール/デジタル/35分/2014(スイス)
 

上映日

東京:4/30 11:00, 5/5 13:45 プログラム Q
京都:5/15 16:30 プログラム Q
福岡:6/5 13:50 プログラム Q
名古屋:6/25 11:00 プログラム Q 
 
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