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マックスへの手紙

マックスへの手紙
 

2014/デジタル/103分(フランス)
  
「アブハジアはパラドックスのようなものだ:物理的存在としては国境があり、政治組織、国旗も言語もある国としてそこに在るが、法的には20年間もの間、他のどの国民国家に承認されていなかった為、存在していなかった。したがって、アブハジアは存在し、且つ不在であり、リアリティーの狭間に位置している。こういった事実があるため、マックス(マキシム・グヴィンジア)へ向けた私の手紙はある種空きビンに入れて海に流された手紙のようなものであり、彼が存在しているアルフレッド・ジャリのユビュ王的世界に対するウィンクのような行為なのである。しかし、手紙は届き、それにより現実はフィクションに侵食された」。
そのようにして往復書簡は始まり、74日間で74通の手紙が書かれた。その手紙が、未承認国アブハジアの大臣であったマキシム・グヴィンジアがナレーターをつとめる映画の脚本となった。この映画はこの交流によって形成されている:なぜか届いたマックス宛の届かないはずの手紙 、彼の録音音声による返報、そしてエリック・ボードレールが往復書簡の後に映したアブハジアの映像によって。
『重信房子、メイと足立正生のアナバシス そしてイメージのない27年間』(11)と同様、ここで映画は情報を提供するのみでなく、人工物を生成するツールとして作用する。ここではどういった風景が映されているのだろうか:新興国家、或いは古い国の風景だろうか、または自然の静寂か、騒々しい政治の場か。又してもボードレールは不可思議な歴史の世界へと我々を導いていく。
 
—ジャン=ピエール・レーム
マルセイユ国際ドキュメンタリー映画祭(2014)
 

エリック・ボードレール

フランスの芸術家・映像作家。初の長編『重信房子、メイと足立正生のアナバシス そしてイメージのない27年間』(11)は日本赤軍のベイルート、東京間での革命的な放浪を遡ったものである。マルセイユ国際ドキュメンタリー映画祭で初上映、DocLisboaで審査員特別賞を受賞。ロカルノで初上映された『The Ugly One』(13)はボードレール初の物語形式の映画であった。また、この映画は映像作家で元赤軍の足立正生とのコラボレーションであり、アナバシスから湧き上がった疑問や後悔等を元にしてできあがった。ボードレールのリサーチベースの技法は写真、版画、さらには出版物までに及び、インスタレーションとして作品の上映と共に数々の個展で展示された。個展経歴:ベトンサロン(パリ)、ベルゲンクンストホール(ノルウェー)、ベイルートアートセンター、ガスワークス(ロンドン)、台北ビエンナーレ2012、ベルリンドキュメンタリーフォーラム2。
 

上映日

東京 パークタワーホール:4/29 16:15 Nプログラム
京都:5/19 18:50 Nプログラム
横浜:5/31 11:30 Nプログラム
名古屋:6/26 11:30 Nプログラム

 
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