プログラム

ニューフィルム・ジャパン【日本招待部門】

映像の根源とその悦楽のヴァラエティ

均質化された(少なくとも表面的には誰でも簡単にクォリティの高い映像を作れるようになった)映像が氾濫する現在、上映される日本の招待作品、公募作品の多くが、映像の本質を改めて問い直し、その魅力の根源を探求している。代表作を一挙上映する石田尚志のシングルチャンネル諸作品は、暗闇の中でスクリーンを見続けることでしか得られない映像独特の悦びに溢れている。有川滋男は意識と無意識が交錯する映像鑑賞体験を「夢」の構造に見立て、美しい幻想風景を作り上げた。五島一浩のシンプルな『見ること、聞くこと』は、映像は何を知覚させるのかを問う。おカタイ題目になりがちな「芸術とは何か」をわかりやすく提示する伊東宣明『アート』の軽やかさもまた、映像のなせる業と言える。アニメーション作品は今年も多彩だ。世界中にフォロワーをもつ水江未来や水尻自子の作品を中心として、抽象的な作品、斬新な語り口の物語作品、あるいは実在の人物や出来事を伝えるアニメーション・ドキュメンタリーであったり、様々なタイプのアニメーションがそれぞれ高度なレベルで成立しており、この表現領域の次なる可能性をも感じることができる。コマ撮りではなく通常の動画撮影で作られた佐藤義尚の『relative』を含め、百花繚乱の「動く楽しさ」を堪能してほしい。
 

 
 

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