プログラム

J 石田尚志映画作品集 驚異の部屋

8作品67分

 

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燃える椅子 石田尚志

イメージフォーラム映像研究所時代に初めて制作した『絵巻』からIFF初紹介となる2013年の『燃える椅子』まで、石田尚志のコアであるシングルチャンネルの代表作品を一挙上映。生命が躍動する抽象ドローイングと有形無形にほとばしる光と陰がスパークし、スクリーンは観客の視覚体験を揺るがす驚異の部屋となる! 現代日本を代表するアブストラクト・シネマの世界。
※京都会場では全てデジタル上映
 
絵巻 8ミリ(デジタル版)/5分/1995
絵巻2 8ミリ(デジタル版)/4分/1996
部屋/形態 16ミリ/7分/1999
フーガの技法 16ミリ/19分/2001・・・愛知芸術文化センター・オリジナル映像作品
椅子とスクリーン デジタル/8分/2002 
絵馬・絵巻2 16ミリ/7分/2006
海の映画 デジタル/12分/2007
燃える椅子 デジタル/5分/2013
 

石田尚志

画家/映像作家。1972年東京都生まれ。1990年より本格的な絵画制作、92年頃より映像制作を始める。『部屋/形態』がイメージフォーラム・フェスティバル1999で特選を受賞。以降、愛知芸術文化センターオリジナル映像作品『フーガの技法』(01)、横浜美術館での滞在制作作品『海の壁-生成する庭』(07)等で注目を集める。2007年に五島記念文化賞美術新人賞受賞。多摩美術大学准教授。
 
『石田尚志の生成するフレーム』 西村智弘(映像評論家)
今回のプログラムは、横浜美術館で開催されている石田尚志の展覧会「渦巻く光」に連動する形で組まれている。美術館では、映像作品が主にインスタレーションとして展示されていたが、初期の映像作品のオリジナルはフィルムであり、映画館のような場所で発表することを前提につくられていた。
石田は、絵画から映像へと向かった作家で、有機的な線のドローイングをコマ撮りした作品を制作する。最初の作品に当たる『絵巻』は、長い紙に線を描きながらコマ単位で撮影したものだ。本来、絵画は静止したものだが、彼はアニメーションの技法によって線に生命を吹きこんでいる。この時間的な展開は、同じ時間芸術である音楽とも結びつく。『フーガの技法』(2001)は、抽象的な絵の動きをバッハの曲にンクロさせた作品であった。
『フーガの技法』には、有機的な線とともに幾何学的な矩形のイメージが登場する。この矩形は、絵画のフレームであると同時に映画のスクリーンでもあるだろう。かつて遠近法を理論化したアルヴェルティは、絵画のことを「開かれた窓」と呼んだが、絵画や映画のフレームは、その平面のなかに三次元的な(遠近法的な)イメージを出現させるものである。
『部屋/形態』は、窓のある部屋の壁にドローイングを試みた作品だが、この窓は画面としてのフレームのアナロジーでもあるだろう。壁には、有機的な線だけでなく、三次元的な空間のイメージが描かれていて、遠近法を意識させている。『椅子とスクリーン』は、『部屋/形態』の流れにある作品で、丸椅子の置かれた部屋の壁に線を描いており、椅子とその椅子を撮影した映像が重ねられている。この作品では、スクリーンの存在とともに、実物とスクリーンに映しだされる実物のイメージの対応関係にも関心が向けられている。
石田の作品は、絵画と映画の出会うところに生まれている。彼の描く線は、たえず生成を繰り返す生命的なものとして出現する。同時に石田は、フレームという絵画や映画の成立する前提を主題化し、イメージの生まれる場そのものから改めて表現をつくりだしている。
 

上映日

東京 イメージフォーラム:4/28 21:15 Jプログラム
東京 パークタワーホール:4/29 13:45 Jプログラム
京都:5/17 16:45 Jプログラム
福岡:6/3 18:40 Jプログラム
名古屋:6/27 13:10 Jプログラム 
 

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